2019.02.07
離婚後に受けられる各種補助
離婚を考えていても、子供がいると離婚後の金銭的な不安から離婚に踏み切れない方が多くいらっしゃいます。離婚後に受けられる公的な補助がありますので、ご紹介します。
①児童扶養手当
父母の離婚等により、ひとり親家庭等の保護者に支給される手当です。子供が18歳に到達した日以降の最初の年度末までが対象となります。戸籍上ひとり親家庭でも、事実上の婚姻関係(内縁など)にあれば支給対象外となります。
②児童手当
離婚した家庭に限られず、子供(15歳到達後の最初の年度末までの児童)を養育している人に対し手当が支給されます。
③特別児童扶養手当・障害児福祉手当
精神又は身体に障がいがある場合の20歳未満の児童について、児童の福祉の増進を図ることを目的として手当が支給されます。
④生活保護
子供がいる家庭に限られず、資産・能力等全てを活用しても生活に困窮する者に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保護し、その自立を助長するための制度です。
⑤母子(父子)福祉資金貸付金
母子家庭の母等が、就労や児童の就学等で資金が必要な場合に、都道府県等から無利子又は低金利で貸付を受けられる制度です。
⑥母子(父子)家庭自立支援教育訓練給付金
母子家庭の母等で、雇用保険の教育訓練給付の受給資格を有していない人が対象教育訓練を受講し、修了した場合に、経費の60%(上限20万円、1万2,000円未満の場合は支給対象外)が支給される制度です。
⑦母子(父子)家庭高等職業訓練促進給
母子家庭の母等が看護師や介護福祉士等の資格を取得するため、1年以上養成機関で修業する場合に、高等職業訓練促進給付金が支給されます。また、入学時には、高等職業訓練修了支援給付金が支給されます。
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2019.02.06
面会交流を禁止・制限できるケース
面会交流は子供の健全な成長を目的として行われるものなので、面会交流が子供に悪影響を及ぼすと考えられる場合には、調停や審判で面会交流を禁止・制限できることがあります。
例えば、非監護親が子供を虐待していた場合には、面会交流を行うと非監護親が子供に再び虐待をしたり、子供の恐怖心が増大する可能性があるため、面会交流が禁止されることがあります。
なお、調停等で監護親がこの主張を行う際には、非監護親は虐待の事実やその程度を争うことが多いため、監護親は、診断書や写真、警察へ相談した記録等の証拠の提出を求められます。似たケースとして、非監護親が監護親にDVをしていたという場合もあります。しかし、子供に対して暴力が一切なければ、当該事実をもって直ちに面会交流が禁止・制限されるのではなく、第三者機関等を利用して面会交流が可能となることもあります。
実務上は、監護親が非監護親のことを嫌悪しているために子供との面会交流をさせたくないというケースが多く見られます。しかし、面会交流は子供の利益の観点から実施の当否を検討すべきですので、他に特段の事情がなければ、監護親の非監護親に対する拒絶のみを理由として面会交流が禁止されることはありません。
同様に、監護親が再婚し子供と再婚相手が養子縁組をした場合にも、新しい家庭を重視したい思いから面会交流をさせたくないという方も多いですが、非監護親と子供の面会交流の重要性は変わりません。したがって、この場合にも、当該理由のみで面会交流を制限することは難しいです。
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2019.02.05
面会交流の方法
面会交流は、離婚後も親子の交流を維持することが子供の健全に成長に資するという理由から行われるものです。父母間の協議によってその頻度や面会方法は異なります。
多くの場合は、1ヶ月に1回程度、非監護親(子供を現実に養育していない親)と子供が一緒に食事をしたり、子供が遊べる場所を訪れたりして交流しているようです。面会交流が良好に進んでいる場合には、頻度を週に1回程度に増やしたり、非監護親のもとに宿泊するということもあります。反対に、非監護親による子供の連れ去り等が懸念される事情がある場合等は、弁護士等の第三者の立会いの下で面会交流を行う、面会の場所を制限するという方法での面会交流も行われています。
また、直接的な面会交流が子供の利益を害するおそれがある場合には、間接的な面会交流として、手紙のやりとりをする、写真や動画を送付するといった方法もあります。
子供にとっては、面会交流は楽しみでも、その前後の監護親(子供を現実に養育している親)の言動にストレスを感じるというケースは少なくありません。監護親として、子供が面会交流に向かう際は笑顔で送り出し、帰宅した際に非監護親と子供との会話を詮索することは決してしないよう気を付けましょう。
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2019.02.04
養育費の一括払い
養育費を相手方が毎月支払ってくれるか不安なため、一括で請求したいという方もおられるかもしれません。養育費の支払方法は、原則として毎月払いとなっています。これは、養育費は子どもの生活費であり、その都度必要とされるものであるからです。そのため、家庭裁判所の調停では、養育費の一括払いの合意が成立しない訳ではないですが、審判では、養育費の一括前払いという結論になることはありません。
一方、夫婦間の協議で養育費について決定する場合は、養育費を一括前払いとすることも可能です。しかしその場合、養育費を受け取る側としては、前払いの金額を早々に費消し、将来子供の養育に支障を来すおそれがあるため、養育費を計画的に使うように細心の注意を払う必要があります。また、通常は毎月もらうはずの養育費を、将来分も含めて一括でもらう以上、国税局は贈与であると認定しますので、贈与税の課税対象となります。養育費を支払う側としても、一括で大金を支払うという負担があり、受け取った側が将来再婚し、養育費の減額をしてもらいたくても、既に支払った養育費の返還を求めることはできません。
以上のように、養育費の一括前払いは支払う側にもリスクがあると共に、受け取る側にも負担があります。原則通り、子供の成長や状況に応じて毎月支払い続けることをお勧めします。
菰田総合法律事務所では、離婚についてのあらゆる相談を承っております。
「私の場合はどうなるの?」「なんとかしたいけど、どうしたらいいか分からない」という方、ぜひ一度ご相談ください。
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2019.02.01
養育費の変更
離婚の際に養育費の額を決めたものの、離婚時に比べて収入が減少したり、子供を監護している親が再婚をして生活が安定しているなどして、養育費を減額・増額してほしいという場合は少なくありません。
離婚の際に夫婦間で協議して養育費を決めた場合でも、調停・審判で養育費が決められた場合でも、その後互いの生活環境や収入の事情に変更が生じたときは、養育費の金額を増減することができます(民法880条)。ただし、養育費の金額変更の事由は、あくまでも養育費の合意後に生じた事由に限られます。そのため、養育費の合意をした際に既に生じていた事由(養育費の決定をした当時、支払う側が再婚することが決まっており、社会保険料が増大し収入が減少することが予想されていた場合など)を理由として、養育費の増減を求めることはできません。
一方、養育費の合意後に再婚等をした場合は、養育費の増減事由となる可能性があります。たとえば、離婚後に子供を監護している母親が再婚し、母親の再婚相手と子供が養子縁組した事案では、養育費を決めた当時予想・前提とし得なかった事情があるとして、合意事項を修正し、養育費の月額を減額した審判例があります(東京家審平成2年3月6日)。
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2019.01.31
養育費の決め方
養育費の金額や支払方法は、父母の話合いで決めることができます(民法766条1項)。しかし、たとえ金額を自由に決めることができても、相場はどのくらいなのか知っておきたいと思われるのが通常です。
養育費の具体的な金額の目安については、東京・大阪養育費等研究会から、親の収入・子の年齢に応じて金額の目安を定めた簡易算定表が出されており、インターネットで検索するとこの表を見ることができます。
しかし、この算定表では養育費の額が低すぎるとして、平成28年に日本弁護士連合会から「新算定方式」が出されました。新算定方式によって計算すると養育費の額が高くなりますが、実務では依然として簡易算定方式が主流です。ただし、当事者や弁護士が新算定方式によった養育費の金額を主張することも少なくありません。
養育費は子供のための費用なので、子供の生活を重視すると、算定表で導き出された金額を適宜修正して妥当な金額を導くことが重要でしょう。
養育費の金額等について父母の協議が調わない場合には、家庭裁判所が当事者からの申立てを受けて、調停、それでも決まらなければ審判で定めることになります(民法766条2項、家事事件手続法別表第2・3項)。
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2019.01.30
養育費とは
離婚すると元夫婦は別々に生活し、どちらかが子供を引き取って養育することになります。しかし法律上、親は、子供に対して扶養義務(自己と同程度の生活を保持させる義務)を負っており、これは子供と同居しているかどうかで変わるものではありません。
そのため、本来であれば、離婚後子供と共に生活をしていない親も、子供の生活費を負担しなければならないということになります。これが養育費の趣旨であり、現実的には、子供と同居していない親は、子供を養育する親に金銭(養育費)を支払うという方法で、その義務を履行することになります。
稀に、「嫌いで別れた夫からお金なんてもらいたくない」と言って、養育費を受け取るつもりはないという方もいらっしゃいますが、ご説明したように養育費は子供の生活のための費用です。子供の生活を思えば、きちんと受け取ることも重要です。
養育費の支払い期間は、これまで、子供が20歳の誕生日を迎えるまでと考えられてきました。しかし、最近は4年制大学に進学する子供が増えていることから、4年制大学卒業の月(22歳の3月)まで養育費を支払うという合意を当事者間で取り決めることがよく見受けられるようになりました。
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2019.01.29
親権者の変更
未成年の子供は、父母が離婚する際に一方の親が親権者に指定されますが、その後の事情の変化によっては、他方の親が親権者となる方が良い場合があります。民法上、子の利益のため必要があるときは、親権者の変更も認められています(民法819条6項)。
ただし、親権者の変更は、当事者の協議によって決めることはできず、家庭裁判所の調停または審判を経る必要があります。また、子供が15歳以上のときは、審判前に子供の陳述を聴くことが必要とされています(家事事件手続法169条2項)。
親権者の変更の基準は、これまでの親権者による監護の実績があるため、親権者の指定の基準とは異なります。親権者の変更の場面では、父母双方の事情の比較考量に加えて、親権者の実際の監護の実績を踏まえて、変更すべき事情があるか検討します。親権者を変更するということは、子供の現在の生活環境を変更するということです。
そのため、変更する必要性が相当高くないと変更は認められません。また、離婚によって子供の親権者となった父又は母が再婚し、再婚相手が子供と養子縁組をした結果、子供が実親と養親の共同親権に服している場合には、他方の実親は親権者変更の申立てをすることができません。
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2019.01.28
婚姻が破綻した後の不貞
有責配偶者からの離婚は認められにくいのが通常ですが、夫婦関係が破綻した後に不貞が行われた場合には、不貞をした配偶者から離婚請求をした場合でも離婚が認められます。なぜなら、この場合、不貞が原因で夫婦関係が破綻したのではなく、ほかの理由で既に破綻していたからです。
しかし、「夫婦関係が破綻していればこれから不貞をしても離婚できる」等と考え、生活費を入れない、DVを行う等の手段で自ら夫婦関係を破綻に至らせた場合には、その事実が理由となり、不貞以外の理由で有責配偶者と認定されるため、離婚請求は認められません。
夫婦関係が「破綻」しているかどうかの判断基準は、明確なものがあるわけではありません。夫婦仲が悪く口論ばかりしていたり、寝室が別々で長年性交渉がない等の事情があっても、これだけではまだ破綻とは言えません。
夫婦関係が破綻しているかどうかは、離婚の意思が相当に固い等の内心の事情に加えて、長期間別居しているといった外形的な事情を総合的に考慮して判断されます。家庭内別居でほとんど会話がないという夫婦であっても、同じ屋根の下で生活している以上、それだけで夫婦関係が破綻したとは認められないでしょう。
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2019.01.25
有責配偶者からの離婚請求
「有責配偶者からの離婚請求」とは、不貞や暴力をした側から離婚を求めることができるかという問題です。判例(最大判昭和62年9月2日)では、以下の全ての要件を満たす場合に有責配偶者からの離婚請求が認められています。
①別居期間が長期間に及ぶこと
②未成熟の子供が存在しないこと
③離婚することによって相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態にならないこと
①は、一般的に5年程度の別居期間が必要とされています。
②の未成熟の子供とは、まだ経済的に独立していないことを指すので、22歳で仕送りを受けている大学生など、成年の子供も含みます。
③は、事案によりますが、たとえ長期間別居していても、有責配偶者が相手方配偶者と子供にほとんど生活費を渡していない等のケースでは、離婚後にますます相手方配偶者と子供の生活が厳しくなることが予想されるため、離婚が認められないことがあります。
以上のように、有責配偶者からの離婚請求が認められるかどうかは、様々な事情が考慮されるため、なかなか簡単には離婚できません。有責配偶者で離婚をお考えの方は、まず別居した上で、離婚に詳しい弁護士に相談することをお勧め致します。
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