弁護士コラム

2019.01.23

離婚してはじめて知る…「自分は連帯保証人だった!!」

「名義変更をすれば、連帯保証人から外れるんじゃないの??」

名義変更で連帯保証人が外れることは、残念ながら「ありません」。
また、連帯債務者だった人が名義変更をしたからと言って連帯債務者から外れることもないのです。
なぜなら、連帯保証人は「主債務者」を保証する立場にあり、連帯債務者は債務者としての立場にあるため、主債務者の返済が滞ったり、もう一方の連帯債務者の返済が滞ったりした場合は、金融機関から返済請求されるようになります。

■住宅ローンを《夫が主債務者、妻が連帯保証人》で組んでいる場合
⇒夫の返済が滞れば、連帯保証人である妻に返済の義務が発生します。
■住宅ローンを《夫婦の収入を合算して》組んでいる場合
⇒夫婦ともに連帯債務者となっているため、どちらかの返済が滞れば片方にも返済請求されます。
夫婦の収入を合算して住宅ローンを組んでいる場合には夫婦ともに連帯債務者になっている場合がほとんどです。

例えば、離婚をする時の財産分与の過程で、妻の共有持ち分を夫名義に変更し、妻は所有者としての地位を失います。
そうすると、妻の住宅ローンの連帯保証としての地位も自動的に外れるのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、連帯保証人や連帯債務者であることは変わりません。

「離婚したのに、連帯保証が外れないなんて納得できない!!」

その気持ちはとても理解できますが、残念ながら法律で定められた日本の連帯保証制度であり、どうすることもできません。連帯保証が解除されるのは、ローンが完済されたときです。
ただ、返済中に連帯保証を外す方法がないわけではありません。

  1. ・住宅ローンを借り入れている金融機関の同意を得る
  2. ・資力などを含め現在の保証人と同等以上の保証人を立てる
  3. ・住宅ローン残額の内、一定額を一括で返済する

…などのケースが考えられます。

しかし、あくまでも債権者である金融機関の同意が必要であり、その同意を得ることも簡単ではありません。金融機関からすれば債務者が離婚したことは関係なく、連帯保証人や連帯債務者を外すことは金融機関にとってメリットがないためです。

ローンの支払い義務を負う一方が、住宅ローン残額全額を借り換えた場合、当然に連帯保証債務はなくなります。
しかし、住宅ローン残額より物件の時価が低いことが多いため、借り入れの担保として住宅ローンの対象物件だけでは不足してしまい、借り換えが実現しないケースはよくあります。

「だったら、売却して、全額返済!でスッキリさせようかな!!」

確かにそうなのですが…。ここで問題なのが、【住宅ローン>物件価値】という状況になっていた場合です。
この場合、売却代金で住宅ローンの完済ができません。また、住宅ローンを担保するために設定されていた抵当権も抹消することができません。抵当権がついた不動産を購入する人は滅多にいません。
そうなると現実的に売却を実現することは難しくなります。

離婚したからと言って、連帯保証や連帯債務がなくなることはありません。
もし、あなたが元夫と離婚をし、再婚した夫と新しい家庭を築き、幸せに暮らしていたとしても、元夫がローンの返済ができなくなってしまったら突然あなたの元に請求書が届くことがあります。その時あなたは「自分は連帯保証人だったの!?」「自分も連帯債務者だったの!?」と気づくことになります。
もちろん「知らなかった」で債務がなくなることもありません。結婚した時に離婚後のことを考える方はいません。
また、マイホームの購入時は、喜び、希望でいっぱいになりリスクを考えないまま金融機関や不動産業者にいわれるがまま「印」を押してしまう方が多いのです。

もう一度、不動産の権利関係、住宅ローンの状況を整理して確認していただくことを強くお勧めします!

 

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