離婚後の手続き

離婚後の各種手続き・公的扶助など

Q離婚が成立した後に、何か手続きすることはありますか?

Q親権は得たいけど、生活が苦しくなりそうです……

離婚が成立した後にも、戸籍や姓、健康保険などに関する、さまざまな手続きがあります。
また、母子家庭・父子家庭に対する公的な扶助もあるので、ここでは離婚後の手続きや扶助などをご参考までにご紹介します。

健康保険の変更・加入

離婚後は健康保険を変更したり、新たに加入したりといった手続きが必要になります。その内容は当事者の状況によって異なります。

当事者が会社員または公務員の場合 基本的には、会社員または公務員の方は健康保険に加入しているはずです。給料から健康保険料が控除されている場合は、離婚をしても変更はなく、そのまま継続されます。
当事者が専業主婦(会社員や公務員の妻)の場合 夫の健康保険に被扶養者として加入している場合は、そこから外れることになります。
就職するのであれば健康保険に、就職しない場合は国民健康保険に加入することになります。
自営業またはアルバイトの場合(国民健康保険の場合) 自営業やアルバイトの方は、国民健康保険に加入しているはずですので、特に変更なくそのまま継続されます。
子どもの健康保険について 子どもの保険は、親権や同居の有無を問わず、元世帯主(主に元夫)の保険の被扶養者として加入し続けることができます。
しかし、元世帯主から親権者の健康保険(主に元妻)に移したいという場合は、書類による手続きを行えば健康保険を移すことができます。
保険料の支払いが困難な場合は……

役所に相談して、保険料の減額または免除の届けを提出することができます。

戸籍と姓の選択・作成

戸籍と姓の選択・作成

離婚をする場合、結婚をして姓が変わった方が、婚姻前の姓に戻ることが原則となります。婚姻中の夫婦の戸籍は1つですが、離婚後の戸籍は別々のものになります。

離婚後の戸籍と姓の選択方法

婚姻前の戸籍と姓に戻る
婚姻前の姓に戻り、自分を戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作る
離婚後も婚姻中の姓とし、自分を戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作る

戸籍と姓の変更方法

離婚後3カ月以内に役所にて変更手続きを行ってください。3カ月を過ぎると家庭裁判所に氏の変更許可の申立てを行い、許可を得る手続きを行わなければなりません。
また、離婚後に決めた姓を変更したいという場合も、同じく家庭裁判所への申立てが必要となります。

公的扶助の活用

公的扶助の活用

「公的扶助」とは、離婚後に母子家庭・父子家庭となった場合等、経済的な困窮をきたす場合に、国や自治体が行う公的な援助のことをいいます。
公的扶助は、市区町村によって異なり、その時々の政策によって流動的に変化するので、詳細については市区町村の担当窓口まで問い合わせましょう。多数の市区町村では、離婚後の公的扶助に関する一覧を備え置いている場合が多いので、役所の担当窓口に聞いてみましょう。

公的扶助の内容例
  • 児童扶養手当

    所得が一定水準以下の保護者によって養育される者で、その他いくつかの規定の条件を満たした児童に対して、国や自治体から支払われる手当です。

    支給額の目安
    児童1人 月額42,290円
    児童2人 月額52,280円
    児童3人 月額58,270円

    ※以後、児童が1人増えるごとに月額5,990円追加される。
    ※全額支給の場合・平成29年4月1日現在

  • 児童手当

    児童を育てる保護者に対して支給される手当です。
    手当の支給額は、保護者の所得によって異なります。

    支給額の目安(所得制限額 未満の保護者の場合で、児童一人あたり)
    3歳未満 月額15,000円
    3歳以上~小学校修了前(第1子・第2子) 月額10,000円
    3歳以上~小学校修了前(第3子以降) 月額15,000円
    中学生 月額10,000円
  • 母子福祉資金

    20歳未満の子どもを扶養している母子家庭に対し、事業開始、就学、就職、医療介護などに必要な資金の貸し付けを行う制度です。
    無利子などの低金利で資金を借りることができ、3~20年間で返済を行います。
    ※利子と償還(返済)期間は貸付金の種類によって異なる。

  • 税の減免

    申告によって所得税や自動車税の減免措置を受けることができます。

  • ひとり親家族等医療費助成

    「18歳になる日より以降の最初の3月31日までの期間にあたる児童」を扶養する母子・父子家庭の親子に対し、健康保険の自己負担費を免除する制度になります。

  • その他の公的扶助

    • 上下水道料金の減免
    • JR通勤定期券の割引

    など

生活保護制度の受給

生活保護制度の受給

「生活保護制度」とは、病気・失業等の理由で収入がなく経済的に困窮している世帯に対して、最低限度の生活を保障する制度です。
給与、養育費、各種福祉手当などを合算しても、政府・自治体が認める最低限度の生活費に満たない場合に、その不足分だけ生活保護で補てんします。
生活保護を適用されるのは世帯単位となり、世帯の構成人数により基準額が変動します。

生活保護の種類

生活保護には8つの種類があり、世帯の生活状態(構成員の人数、年齢、性別、健康状態や収入)によって1つあるいは2つ以上の内容が認められます。

生活扶助 生活困窮者が、衣食やその他の日常生活を営むうえで最低限必要な扶助。飲食物費、光熱水費、移送費などが主とされます。
住宅扶助 住宅の維持費を支払う必要がある場合の扶助。家賃や地代、間代のほか、転居の際にかかる敷金・礼金、手数料などの最低限必要な項目について支給されます。また、居住している家屋が自然災害などで損壊し、生活が維持できなくなった場合は、修繕費なども支給されます。
教育扶助 生活困窮者の児童が義務教育を受けるために必要な扶助。
学用品費、教科書に準ずる図書の購入費、学校給食費、学校や教育委員会が実施する校外活動に参加するための費用などがこれに当たります。
出産扶助 生活困窮者が出産する際に扶助されるもの。分娩介助費用、分娩前後の処置費用、病院などの入院費用など最低限必要な金額が支給されます。
医療扶助 生活困窮者が病気や怪我などで医療機関を受診・治療する際の医療費(薬代含む)、入院費、移送に必要な費用が免除されます。
介護扶助 生活困窮者が要介護または要支援と認定された場合に行われる扶助。
居宅介護費、施設介護費、福祉用具の購入費などの支給が認められますが、介護保険との関連で金額には制限があります。
生業扶助 生業に必要な資金や器具資材の購入費、技能習得費、就労のための衣服など身の回り品の購入費などが扶助されます。
葬祭扶助 生活困窮者が葬祭を行う際に扶助されるもの。火葬や埋葬、遺体の運搬など葬祭に必要な経費が支給されます。

再婚の注意点

離婚が成立した後で再婚を考える際には、注意すべき点があります。法的な規制もありますので、すぐに再婚をしたいという方はご相談ください。

再婚禁止期間

再婚をする場合、男性は離婚後すぐに再婚することができますが、女性には法で定められた「再婚禁止期間」があります。
女性は離婚後すぐに再婚して出産した場合、出産した子が前夫の子か再婚した夫の子か不明確になる場合があるため、離婚してから100日間を経過した後でないと再婚ができません。
しかし、以下の条件を満たせば、女性でも離婚後すぐの再婚が認められるケースがあります。

  • 離婚時点で妊娠していない場合
  • 前夫と再婚する場合
  • 離婚前から妊娠しており、出産後に再婚した場合
  • 高齢で妊娠の可能性がない場合
  • 不妊手術を受けている(妊娠ができない場合)※医師の診断書と証明書が必要です
  • 夫の生死が3年以上不明で、裁判により離婚を認める判決を得ている場合

弁護士からの一言

離婚が成立した後も各種手続きがあり、公的扶助の申請など行うことがたくさんあります。
これらはその時々の政策によって内容が変動したり、自治体によって内容や条件が異なったりする場合も多いので、該当する役所窓口にて確認されることをおすすめします。
当事務所では、離婚相談の依頼者に対して、離婚後の各種手続きや公的扶助などについてのアドバイスも行っておりますので、お気軽にお尋ねください。

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